スリーピング・ウイスキーキャット

まだまだぺーぺーの下戸が、主にウイスキー愛を語るメモ。 Sometimes I write something about Japanese whisky in my poor English.

キリンウイスキー、富士山麓樽熟原酒50°(2016年3月下旬リニューアル)レビュー

www.fujisanroku.jp

 

富士山麓が価格もクオリティもグレードアップしてリニューアルされましたね。

詳細は他日を期すことにして、簡単にレビューをします。

 

・ブラックニッカ8年(終売済み)を思い出させるエステリーな香り。良くも悪くも刺激は少な目?

熟れきった果実のような、はたまたもう少し踏み込むと有機溶剤スレスレのような香りを感じます。

一番近くて馴染み深いのは、終売の憂き目に遭ったブラックニッカ8年の香りでしょうか。

さすがグレーンウイスキーの最高賞を受賞した富士御殿場蒸留所というべきか、グレーンの甘み深みを感じます。

味わいは、度数が高く熟成年数もそこまで長くないであろうにも関わらず、ピリついたアルコール刺激がなくまろやかな甘みを感じます。

同等のアルコール度数で値段が1ランク違うニッカのフロム・ザ・バレルと比べるとモルトの複雑さと熟成感は劣っています。ただ、価格差を考えれば比較するだけ野暮なことでしょう。

ともかく、実売1500円以下のジャパニーズとしては「いい勝負できる」優秀な商品だと思います。

2020年の東京五輪前後に高品質な特別商品を出せば、キリンのウイスキー部門の評価もさらに高まるんじゃないかと思いますがどうでしょう。

 

最後に、ご注意を。

執筆現在、酒屋さんなどでは値段がいまいち落ち着きがなかったり、リニューアル以前の富士山麓も一緒に並んでいたり、キャンペーン景品のロックグラスが付いていたりいなかったりするかと思います。

記事更新が滞っているのでなんとなく今後書きたいことについて

ご無沙汰しています。ウイスキー経験値を積みながら、あんまり迂闊なことを書けないドツボにハマってしまっています。

今後、記事にしたいトピックを挙げていきますが、記事になるか/いつになるかは保証しかねます。ご了承ください。

 

では以下箇条書き。

・なんでスコットランドで一番ポピュラーなブレンデッド、ザ・フェイマスグラウスは日本でそんなにフェイマスじゃないのか。

安くて美味しいと思うのになあ。ちなみに、同じ連合王国でもイングランドではベルズ(ベル)が一番ポピュラーだそうです。スコットランドイングランドのライバル関係か?

 

・千円台のブレンデッドスコッチに同価格帯のジャパニーズは勝負できるのか?

昨年新発売されたブラックニッカディープブレンドや、先日リニューアルされたキリンウイスキー富士山麓樽熟50°は、千円台スコッチに太刀打ちできるのか?

正直、千円台ブレンデッドスコッチは、それなりの値段のウイスキーにトライした後に立ち返ると、出来の良さに感心させられます。

 

その他にも、記事を更新しない間に味わったウイスキーの紹介もしたいと思います。

今後ともよろしくお願いします。

モンキーショルダー/三つの蒸留所のモルトをヴァッティングした飲みやすいお手頃なブレンデッドモルト

モンキーショルダー

ブレンデッドモルトスコッチウイスキー「モンキーショルダー」。

グレンフィデックやグランツで有名なウイリアムグラント&サンズ社の、日本でいうピュアモ ルトウイスキー。実勢価格三千円ほどでコスパ良好。

ストレートからカジュアルなカクテルまで飲み方は色々。常飲銘柄としては優秀な部類かと。

イリアムグラント&サンズ社は、シングルモルトが売れない時代から、いつかはシングルモルトの時代が来るとグレンフィデックを製造し続けてきた、独立の家族経営の企業としては異例の大手。

同社が所有す るスペイ川近くのグレンフィデック、バルベニー、キニンヴィーのモルト原酒をバーボン樽で寝かせてブレンドした「トリプルモルトウイスキー

ブレンデッドモルトやヴァッテッドモルト、ピュアモルトなど様々な呼び方はされますが、三つの蒸留所のモルトウイスキーを使った100%モルトウイスキーです。

正規輸入業者が超大手酒類会社じゃないため、そこまで有名ではないですが、とても美味しいお手頃ウイスキーです。

スペイサイドのノンピーテッド原酒をバーボン樽で熟成しており、ノンエイジもので、ほんのり若さも感じますが棘がありません。

バーボン樽のスコッチの正統派といった感じで、味と実勢価格(三千円前後)を鑑みると、残念ながらニッカの竹鶴ピュアモルトは劣勢ですね。。。

高級銘柄にバンバンとお金をかけられるほどの余裕はありませんが、美味しくてリーズナブルなお酒をちびちびと嗜む程度の私には常飲銘柄候補の一つになりました。

Review - Nikka Whisky "Nikka Coffey Grain" and "From the Barrel" (in my poor English)

 

I want to write an article about Japanese whisky tonight, especially "Nikka Coffey Grain" and "From the Barell" by The Nikka Whisky Distilling Co. Ltd.

If you want to know more about Nikka, you can read official website in English.

Nikka Whisky Europe Homepage

NIKKA WHISKY - English

Summary

  • The reason why Nikka's blended whiskies are tasty is special Coffey grain whisky, I guess.
  • Single grain whisky "Nikka Coffey Grain" has so rich, lovely aroma and taste. Try it!
  • "From the Barrel" is an inexpencive high proof whisky. It is very tasty because of Nikka's unique malt whiskies and Coffey grain whisky. "From the Barrel" won a lot of prestigious prizes.

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ブラックニッカディープブレンドとシングルモルト余市の関係性を邪推してみた

今年はマッサンブームや海外観光客の爆買いなどの影響で、ジャパニーズ・ウイスキーが値上げしたり、終売銘柄が出たりと災難な一年でした。

中でも個人的に最も衝撃的だったのが、ニッカウヰスキーシングルモルト余市と宮城峡のノンエイジ化です。

私はシングルモルトにこだわるわけでもないですし、年数表記で酒の善し悪しが決まるとも思いません。それでも、年数ごとのボトルを比べると、蒸留所の個性や熟成の神秘が現れてきます。

そういった機会が当分の間(だと思いたいですが)失われてしまうのは実にもったいない!と思います。

 

その一方で、ブラックニッカシリーズにディープブレンドという新顔が登場したのも今年のことです。

新樽仕込みの余市モルトをキーとして、実勢価格1500円前後のジャパニーズ・ウイスキーとしてはかなり善戦している味なのではないかなと個人的には感じています。

 

ところで新樽仕込みの余市モルトといえば、こんな話題がありました。

新樽に仕込んだ余市モルトのピークを10年と見極めてボトリングされた「シングルカスク余市10年」が、Whisky Magazine 「BEST OF THE BEST 2001」最高得点賞獲得の栄誉に輝いたのでした。

 

ということは、ブラックニッカディープブレンドと並行して新樽仕込みのシングルモルト余市が貯蔵されていて、数年後には余市10年が復活するかも、、、という淡い期待を持つことができるんじゃないでしょうか。

さらにいえば、ディープブレンドに使用された樽の二回目の利用からは、10年以上の長期熟成も可能となるのではと(略

今年の”原酒不足”を理由とした終売・再編ですが、ここでいう原酒とは蒸留したてのニュースピリッツではなく、樽で十分な期間熟成された原酒です。

つまり、熟成年数や趣向の異なる大量の原酒を確保するためには、物理的に大量の樽と時間が必要になるわけです。

ディープブレンドの新樽の利用は、「あまり長くない熟成期間でも原酒に十分な熟成感を与える」という理由のみならず、「今後50年以上のウイスキー生産を見据えた樽の確保」という側面もあったのではないでしょうか。

そう考えると、ニッカの将来は気を長く持ちさえすれば明るいと言えなくもないと思いたいです。親会社のアサヒビールさん、お願いですから時間のかかるウイスキー造りに根気よくつきあってくださいませ。

 

まあ、あくまでも邪推ですよ。

バーボン・ウイスキー”ブッカーズ”

プレミアムバーボンウイスキー、ブッカーズが先日Amazonから届きました。

www.suntory.co.jp

わたしが注文したときは5000円を切る値段だったのですが、今は5700円ほど。クリスマスシーズンで値段が上がったのでしょうか?

シングルバレルもので、度数や風味が調整されておらず、テイスティングによってその樽の最適なタイミングでボトリングするということで。

ぼくが今回引いたのは、7年2ヶ月28日間熟成の63.6%のものでした。

 

ワイルドターキー8年(50.5%)と比較しつつ、レビューを。

 

これまでバーボンはあまり開拓してこなかったのですが、これは文句なく美味い!

ワイルドターキー8年よりもハイプルーフでわずかに若いのですが、香り味ともにアルコール刺激が感じられませんでした。

ワイルドターキーはスパイシーさも感じられますが、ブッカーズはとにかく滑らかで芳醇なキャラメル様の甘い香味。

ぼくがこれまでバーボンを敬遠してきた理由のひとつ、セメダイン的な香りも感じられませんでした。

 

とはいえ、ブッカーズは一つ一つ異なるので、一般化できませんのでご了承を。

無論、高い品質管理をくぐり抜けてきた選りすぐりのプレミアムバーボンなので、熟成期間や度数が多少異なっても、きっと素晴らしいボトルに出会えるはずです。

ウイスキーに一滴の水を加えるだけで香りが途端に開く、というお話について

へたくそな英語で、ジャパニーズ・ウイスキーを紹介する記事を書いていたら、文章の推敲に時間がかかり、ブログ更新が滞ってしまいました。

その記事は他日を期すことにして、今日はちょっとしたことだけど、それなりに大事な話を。

 

 ウイスキーを飲み始めてからは、それぞれの個性に合わせてストレート、ロック、トゥワイスアップなどで飲み、香味の変化を楽しんでいました。

しかし、「一滴の水を加えるだけでウイスキーの香りが花開く」というお話は信じ切れていませんでした。

だって、ウイスキーのアルコール度数は40度からせいぜい60度台。ほぼ半分水です。そこに一滴の水が混じって何が変わるのか、と。

 

これは完全に中学だか高校レベルの理科の知識が抜け落ちていたがゆえの誤解でした。

仕組みは忘れましたが、アルコールと水が混じると熱が生じますね。その熱のためにウイスキーの香りが立ち昇るわけです。

これは、水が多すぎては、生じる熱を冷ます結果となるわけで、だからこそ「一滴の水」なんですね。

先細のテイスティンググラスを用いると、その香りの差は歴然です。

なお、水を入れるタイミングが早すぎるたりロック用のグラスなんかだと香りはあっという間に逃げます。ご注意を。