ラム酒・パンペロアニバサリオを飲んで、温暖な気候での樽熟成を考える
ご無沙汰しています。
ここのところ、定番ウイスキーばかり飲んでいて目新しいネタがありませんでした。
先日、テイスティングセミナーで飲んだ台湾カヴァランが忘れられず、「温暖な気候で熟成させた蒸留酒」に興味がわきました。
そこで、ウイスキーではありませんでしたが、ラム酒でコスパのいいと噂のパンペロアニバサリオを購入。
ボトルを包む豚革で出来た袋は趣味の釣り具入れにでも使おうかと思います。
アメリカンオーク樽で熟成されたダークラム。これまで製菓用にマイヤーズしか知らなかったので、やっと美味しいラム酒に出会えたと思いました。
バーボン樽と同じくアメリカンオーク樽ですが、詳細はわかりませんがバーボンバレルよりも大きい樽で熟成させているのでしょうかね。
アメリカンオーク由来のアロマはバーボンと共通のものをわずかに感じられますが、やはり当然ながら別物です。
私の個人的な印象としては、ウイスキーはなんだか思索的な気持ちになるのですが、ラム酒はカリブ海のイメージからか楽天的な気持ちで楽しめます。
パンペロアニバサリオはフロム・ザ・バレルより少し安いくらいの価格帯で、品質も値段以上だと思いますので、ウイスキーファンのみなさまもよろしければどうぞ。
台湾カヴァランウイスキーテイスティングセミナー
先日のウイスキートーク福岡にて台湾のカヴァランのテイスティングセミナーに参加しました。
ウイスキーの蒸留所としては南国の部類での驚きの短期熟成で、さすが世界一を受賞するだけのことはある出来栄えでした。ウイスキーは冬を越さなければ、という固定観念が覆りました。
増産や販路拡大に向けてかなり投資をしているらしく、短期熟成の割に値段はそれなりの価格をキープしそうです。
シェリー樽・ポート樽のシングルカスクものはまさしく感動ものだったのですが、シェリー系で普段飲みには値段十分の一のネイキッド・グラウスでも十分かな、と思ったのは貧乏人根性ですね。
品質の高い樽を台湾マネーに物を言わせて短期熟成で使い倒すというのは、ウイスキー業界で樽不足が深刻だと叫ばれている中、若干心配な部分がありますが、中身は文句なしに美味いですので、シェリー系のソリスト(シングルカスク)をご購入できる方はどうぞお試しあれ、ということで。
ジャックダニエルの独特の匂いについてちょっと考察
ジャックダニエルといえば、厳密にはテネシー・ウイスキーなのですが、流通しているテネシーは実質ジャックダニエルだけなので、便宜上タグにバーボンとつけました。ご了承ください。
ジャックダニエルは熱烈なファンがいる一方で、香りに含まれる独特のエステリーさが「セメダイン(他には有機溶剤、なんか薬っぽいとも)みたいで嫌い」などという人もいます。
個人的には欧米ではポピュラーなリコリス菓子の風味を想い出すのですが、日本人にはなじみがなく、試してみた人の中でもやはり苦手な人が多いです。
ジャックダニエルがリコリスを感じさせるという感想は、英語で検索するとたくさん引っかかりますが、日本語になると海外のテイスティングノートを翻訳したようなサイトが引っかかるくらいであまり指摘する人が少ない印象です。
リコリス菓子との共通点に気づいてから、なるほどジャックダニエルとコーラをカクテルするややジャンキーな飲み方が(ほかの銘柄と比べても)流行るはずだと思いました。
エステリーな香りに、バニラ、リコリス、さらにコーラの相性はたしかにアメリカンな趣きを感じます。
無論、ストレートで飲んでも美味しい銘柄であることを念のため明記しておきます。
海外からの留学生や社会人にフロム・ザ・バレルを贈る理由
【番外編】そこまでマニアックでない海外ウイスキーファンとの会話
どうでもいいお話しを。
先日、近場の花見の名所で何人かの欧米系訪日外国人とジャパニーズ・ウイスキーについて雑談しました。
キリンウイスキー、富士山麓樽熟原酒50°(2016年3月下旬リニューアル)レビュー
富士山麓が価格もクオリティもグレードアップしてリニューアルされましたね。
詳細は他日を期すことにして、簡単にレビューをします。
・ブラックニッカ8年(終売済み)を思い出させるエステリーな香り。良くも悪くも刺激は少な目?
熟れきった果実のような、はたまたもう少し踏み込むと有機溶剤スレスレのような香りを感じます。
一番近くて馴染み深いのは、終売の憂き目に遭ったブラックニッカ8年の香りでしょうか。
さすがグレーンウイスキーの最高賞を受賞した富士御殿場蒸留所というべきか、グレーンの甘み深みを感じます。
味わいは、度数が高く熟成年数もそこまで長くないであろうにも関わらず、ピリついたアルコール刺激がなくまろやかな甘みを感じます。
同等のアルコール度数で値段が1ランク違うニッカのフロム・ザ・バレルと比べるとモルトの複雑さと熟成感は劣っています。ただ、価格差を考えれば比較するだけ野暮なことでしょう。
ともかく、実売1500円以下のジャパニーズとしては「いい勝負できる」優秀な商品だと思います。
2020年の東京五輪前後に高品質な特別商品を出せば、キリンのウイスキー部門の評価もさらに高まるんじゃないかと思いますがどうでしょう。
最後に、ご注意を。
執筆現在、酒屋さんなどでは値段がいまいち落ち着きがなかったり、リニューアル以前の富士山麓も一緒に並んでいたり、キャンペーン景品のロックグラスが付いていたりいなかったりするかと思います。