今海外も注目するテンカラ釣りの魅力にせまる。【1】
The summary in English is below.
0 テンカラの基礎知識
日本の伝統的な毛鉤釣り・テンカラは、主として渓流魚(イワナ、ヤマメ、アマゴなど)を対象として、竿(リールを使わない延べ竿)、釣り糸、そして毛鉤だけを使ったシンプルな釣りの手法である。
ヤマメ・アマゴ・イワナを和式毛バリでねらう | 釣り方・釣り具解説 | Honda釣り倶楽部 | Honda
川魚の職業漁師の営業秘密だったためか、歴史的資料はあまり残されていないが、少なく見積もっても江戸時代にはすでに存在していたようだ。( テンカラの歴史 : テンカラの鬼 榊原正巳 テンカラの世界 )
その昔、渓流魚がたくさんいた時代には、いちいちエサを付け替える必要のない毛鉤釣りの方が効率的にたくさんの魚を獲れたのだろう。今考えるとうらやましい限りである。
また、テンカラの語源には諸説あるようだが、ここでは深く立ち入らない(石垣尚男氏の なぜテンカラ?語源へのアプローチ を参照のこと)
1 日本人の美意識とテンカラーシンプルさと「粋(いき/すい)」
近時、テンカラ釣りが流行してきたのはなぜなのだろうか。
釣果にこだわればエサ釣りに分があるだろうし(もっとも、これはテンカラが元来職業漁師の釣りだったことと矛盾しない。上記のようにもっと魚影が濃く簡単に魚を釣ることができた時代にはエサ釣りよりも毛鉤釣りの方が効率よく釣果を上げられた)、西洋式のフライフィッシングの方が毛鉤を容易に遠くに飛ばすことができフライパターンの使い分けなどで様々なシチュエーションに対応できる。ルアーもまた飛距離に優れ、大物とのやり取りも高機能のリールのおかげで延べ竿の釣りとは比べ物にならないほどラクだろう。では、テンカラの魅力はどこにあるのか。
第一に、そのシンプルな道具である。延べ竿、糸、毛鉤だけで構成され、毛鉤も西洋式フライほどパターンを気にすることはない。機械仕掛けの道具のわずらわしさを排し、単純な道具を手にしただけの人と自然が溶け合うような不思議な感覚。さらに、魚をかけたときの針先から手元にいたる直接的な喜びは、リールもガイドもない延べ竿ならではのものだ。
第二に、「粋(いき/すい)」の要素である。テンカラの魅力や美学は「いき」や「すい」といった江戸時代の美意識に、通じているのではないか、ということだが、ここで九鬼周造のように哲学的な考察を加えることはかえって野暮なので、こういった美意識の学問的なことに関してはウェブや書籍で調べていただくほかない。
先に挙げた第一の魅力=シンプルさゆえに、テンカラには制約が大きい。とりわけ毛鉤の飛距離の問題は他の釣りと比してかなり不利になる。そこに加えて、疑似餌である毛鉤というエサに対する反骨。それを腕前ひとつで釣ってやろう(魚のいそうなところに手返しよく毛鉤を打ってながしたり、ロングラインキャストに挑んだりする)というのが、テンカラ師たちの意地であり、それで釣れたら他の釣り方よりも満足度の高い一匹となる。
また、たとえテンカラの腕前・技術を尽くしても思うような釣果に至らなかったとしても、やせ我慢と反骨精神を背景にもつ「いき/すい」の美学からは、何も恥じることはなく、むしろそれが独特な美意識をともなうカッコよさに紐付いているようにも思える。
それはたとえば、粋にヘラブナ釣りを楽しんでいる人に対して、食べられる魚を釣ったらどうですかとか、エサをミミズにして針を丸セイゴにしたら鯉やブラックバスが釣れて引きもよくていいですよ、などと言うのが野暮で不粋なのと同様だと思う。
以上を、極端に要約をすると、質素で反骨的な釣り方である現代のテンカラは、釣れたときの一匹の喜びがとても大きく、釣れなくても潔くあろうとする、江戸・化政文化以来の美意識に通じるものがあるように思える。
(もっともこの考察はもとよりいい加減なものだし、テンカラの起源である職業漁師の価値観にはそぐわないだろう。)
Summary in English
I think that one of the charms of today’s Tenkara fishing is the idea of 粋(iki).
粋 means basically stylishness, chic, or smartness in the dictionary. However 粋 has other nuances too.
粋 is also the virtue of patience.
Tenkara use fixed line, no reels, patterns of kebari are less than Western fly fishing. It’s 粋 of the simplicity of Tenkara.
Less is more!
2 テンカラとシンプル・フライフィッシングー日本の伝統釣法が世界へ
日本の榊原正巳氏、石垣尚男氏や、アメリカのアウトドア用品メーカー・パタゴニア創業者のイヴォン・シュイナード氏ら(著書に『シンプル・フライフィッシング』がある)、さらにはアメリカでテンカラの普及・テンカラ用品の販売をしているTenkara USAのメンバーの努力によって、テンカラ釣りは世界に羽ばたくことになった。
イタリアにはバルセジアーナというテンカラそっくりの伝統釣法があり、やはり職業漁師の釣りである(あった)という。
伝統釣法がネット社会と出会ったときに、マイナーな伝統が「クール」なものとして受け入れられやすいのはなんとなくわかる。実際、YoutubeやInstagramがテンカラの海外での盛り上がりに寄与しているところは大きいと思う。
3 道具についてー釣り竿は一流メーカーのものであるべきか
テンカラを始めようと思ったとき、どんな釣り竿を選べばいいのかはなかなかわからない。
釣りをしている人間なら誰しもが知っている一流メーカーのものを選ばなければならないだろうか。
それとも、Amazonなど通販サイトでテンカラ竿と検索して上位にヒットした、あまり有名ではないメーカーの5千円以下の竿を選んでいいものか。
私の場合は、特徴の異なる5千円以下の竿を二本持っている(3.6m、3.9m)。(さらに先日、日本製の1万円ほどの4.5mの竿を追加購入したので、3本だ。
安いことはもちろん理由の一つだが、他にも理由がある。
まず、テンカラ竿は、渓流竿などこれまで生産ノウハウの蓄積した技術を転用している。要するに製品として枯れた技術を使っているとか成熟した技術を使っていると言える。したがって、生産ラインや検品がしっかりしていれば、安価なメーカーの竿で初心者には十分であり、一流メーカーの最先端の技術は己の技術がステップアップしてからでいいだろうと、私は思う。
次に、釣り竿の長さや調子(テーパー)の違いに慣れるために複数本釣り竿を試すには、安価なもので遊び倒すのが一番いいと思うからである。
さて、次は「渓流以外でのテンカラ仕掛けの釣りをテンカラと呼んでいいのか」などを考えてみたい。
個人的、コスパのよい常飲銘柄(三千円前後)
3000円前後の個人的常飲銘柄
メイカーズマーク
3000円~5,6000千円ほどのウイスキーだと、スコッチよりもバーボンの方が個人的にはコスパがいいと思います。
その中でもメイカーズマークは、ライ麦を用いないで小麦を用いるレシピや、19バッチ(バッチとは、"束"の意味。つまり、樽ごとの個性を見極めて瓶詰めするのは厳選された19樽のヴァッティング(ブレンディング)の成果。)のこだわりがあり、ワイルドターキーのような無骨なバーボンとは対極の、華やかなアロマと甘い飲み口が特徴的です。
モンキーショルダー
ブレンデッドモルトスコッチウイスキー「モンキーショルダー」。
グレンフィデックやグランツで有名なウイリアムグラント&サンズ社の、日本でいうピュアモ ルトウイスキー。実勢価格三千円ほどでコスパ良好。
ストレートからカジュアルなカクテルまで飲み方は色々。常飲銘柄としては優秀な部類かと。
ウイリアムグラント&サンズ社は、シングルモルトが売れない時代から、いつかはシングルモルトの時代が来るとグレンフィデックを製造し続けてきた、独立の家族経営の企業としては異例の大手。
同社が所有す るスペイ川近くのグレンフィデック、バルベニー、キニンヴィーのモルト原酒をバーボン樽で寝かせてブレンドした「トリプルモルトウイスキー」。
ネイキッドグラウス
スコットランドで最もポピュラーなフェイマスグラウスのアッパークラス。
フェイマスグラウスに用いる原酒をマリッジ(ブレンド後の再熟成)、4年以上シェリーカスクで後熟したものとのこと。
ほのかなピートと、このクラスとしては十二分に楽しめるシェリー樽由来の香味はシェリーカスクものがお好きな方の常飲にも向いてそうです。
フロム・ザ・バレル
二千円台で51.4%の度数を誇る異例のジャパニーズウイスキー。
定価値上げによってフロム・ザ・バレルの評価は結構揺らいでいるようですが、個人的には値上げも許容範囲内で、相変わらずおいしくいただいております。
フロム・ザ・バレルを筆頭にニッカのブレンデッドがお好きな方は、ぜひニッカ・カフェグレーンにも挑戦していただきたいところです。
ラム酒・パンペロアニバサリオを飲んで、温暖な気候での樽熟成を考える
ご無沙汰しています。
ここのところ、定番ウイスキーばかり飲んでいて目新しいネタがありませんでした。
先日、テイスティングセミナーで飲んだ台湾カヴァランが忘れられず、「温暖な気候で熟成させた蒸留酒」に興味がわきました。
そこで、ウイスキーではありませんでしたが、ラム酒でコスパのいいと噂のパンペロアニバサリオを購入。
ボトルを包む豚革で出来た袋は趣味の釣り具入れにでも使おうかと思います。
アメリカンオーク樽で熟成されたダークラム。これまで製菓用にマイヤーズしか知らなかったので、やっと美味しいラム酒に出会えたと思いました。
バーボン樽と同じくアメリカンオーク樽ですが、詳細はわかりませんがバーボンバレルよりも大きい樽で熟成させているのでしょうかね。
アメリカンオーク由来のアロマはバーボンと共通のものをわずかに感じられますが、やはり当然ながら別物です。
私の個人的な印象としては、ウイスキーはなんだか思索的な気持ちになるのですが、ラム酒はカリブ海のイメージからか楽天的な気持ちで楽しめます。
パンペロアニバサリオはフロム・ザ・バレルより少し安いくらいの価格帯で、品質も値段以上だと思いますので、ウイスキーファンのみなさまもよろしければどうぞ。
台湾カヴァランウイスキーテイスティングセミナー
先日のウイスキートーク福岡にて台湾のカヴァランのテイスティングセミナーに参加しました。
ウイスキーの蒸留所としては南国の部類での驚きの短期熟成で、さすが世界一を受賞するだけのことはある出来栄えでした。ウイスキーは冬を越さなければ、という固定観念が覆りました。
増産や販路拡大に向けてかなり投資をしているらしく、短期熟成の割に値段はそれなりの価格をキープしそうです。
シェリー樽・ポート樽のシングルカスクものはまさしく感動ものだったのですが、シェリー系で普段飲みには値段十分の一のネイキッド・グラウスでも十分かな、と思ったのは貧乏人根性ですね。
品質の高い樽を台湾マネーに物を言わせて短期熟成で使い倒すというのは、ウイスキー業界で樽不足が深刻だと叫ばれている中、若干心配な部分がありますが、中身は文句なしに美味いですので、シェリー系のソリスト(シングルカスク)をご購入できる方はどうぞお試しあれ、ということで。
ジャックダニエルの独特の匂いについてちょっと考察
ジャックダニエルといえば、厳密にはテネシー・ウイスキーなのですが、流通しているテネシーは実質ジャックダニエルだけなので、便宜上タグにバーボンとつけました。ご了承ください。
ジャックダニエルは熱烈なファンがいる一方で、香りに含まれる独特のエステリーさが「セメダイン(他には有機溶剤、なんか薬っぽいとも)みたいで嫌い」などという人もいます。
個人的には欧米ではポピュラーなリコリス菓子の風味を想い出すのですが、日本人にはなじみがなく、試してみた人の中でもやはり苦手な人が多いです。
ジャックダニエルがリコリスを感じさせるという感想は、英語で検索するとたくさん引っかかりますが、日本語になると海外のテイスティングノートを翻訳したようなサイトが引っかかるくらいであまり指摘する人が少ない印象です。
リコリス菓子との共通点に気づいてから、なるほどジャックダニエルとコーラをカクテルするややジャンキーな飲み方が(ほかの銘柄と比べても)流行るはずだと思いました。
エステリーな香りに、バニラ、リコリス、さらにコーラの相性はたしかにアメリカンな趣きを感じます。
無論、ストレートで飲んでも美味しい銘柄であることを念のため明記しておきます。