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スリーピング・ウイスキーキャット

まだまだぺーぺーの下戸が、主にウイスキー愛を語るメモ。 Sometimes I write something about Japanese whisky in my poor English.

ニッカウヰスキー、"フロム・ザ・バレル"と"ニッカ カフェグレーン"

さて、いろいろと悩みましたが、このブログで最初にご紹介するウイスキーはニッカウヰスキーの"フロム・ザ・バレル"と"ニッカ カフェグレーン"にしようと思います。

長文になりますので、手っ取り早く感想の結末をご覧になりたい場合、読み飛ばして記事の最後までスクロールしていただければ幸いです。

 

まずはニッカ公式の商品紹介。

 

フロム・ザ・バレル|商品紹介|NIKKA WHISKY

ニッカ カフェグレーン|商品紹介|NIKKA WHISKY

 

【総評】

  • 「グレーンはブレンデッドの脇役」という偏見を”ニッカ カフェグレーン”は覆す
  • ”フロム・ザ・バレル”の他に類を見ない美味さの秘訣は、カフェグレーン原酒にあり(?)

 

【商品紹介】

”フロム・ザ・バレル”はあまり宣伝をしておらず、そこまで値段が高くないにもかかわらず、世界的な大会で数々の高評価を得るなどしたため、ネットを中心に熱狂的な人気を誇るブレンデッドウイスキーです。

その特徴は、モルト原酒とグレーン原酒をブレンドした後、さらに樽詰めして数ヶ月再貯蔵(マリッジ)し、樽出しほぼそのままの51.4度という通常のウイスキーより高いアルコール度数で出荷される点にあります。

 ”骨太な飲みごたえ”、”濃厚にして繊細な香りと味わい”とニッカは紹介しています。

2015年9月からの値上げで、実勢価格は500mlボトル2300円から2700円ほどでしょうか。

 

続いて、”ニッカ カフェグレーン”です。

そもそも、スコッチやアイリッシュ、ジャパニーズのウイスキーはモルト原酒が主役でグレーン原酒はブレンデッドウイスキーの脇役扱いですorでした。

モルト原酒は大麦麦芽のみを原料としており、グレーン原酒はトウモロコシ(まれに小麦やライ麦などが含まれることもある)を主原料としています。(とはいえ、ウイスキーの定義としては大麦麦芽による糖化の工程が必要なので、グレーン原酒にも大麦麦芽モルトが含まれます。”カフェグレーン”のボトルの原材料欄に「グレーン、モルト」と表記されているのはそのためです。)

モルト原酒とグレーン原酒の作り方の違いの詳細はニッカの商品紹介をご覧いただきたいのですが、モルト原酒は単式蒸留を2回(銘柄によっては3回)しており風味豊かで蒸留所ごとの多種多様な個性的な味わいを楽しめるとされています。対するグレーン原酒は連続式蒸留によって、低コストで度数の高いアルコール(ニュー・スピリッツ)を得られる代わりに、個性に乏しいとされてきました。

しかしグレーンウイスキーの低い評価を大きく覆したのが”ニッカ カフェグレーン”でした。

カフェ式連続式蒸留機の詳細については、以下のニッカのページを参照していただきたいですが、カフェ式は他の連続式蒸留機と比べて原料の風味が豊かなのが特徴なようです。

宮城峡蒸溜所の紹介「カフェ式連続式蒸溜機秘話」 | NIKKA WHISKY

主にニッカのブレンデッドウイスキーの名脇役的ポジションなカフェグレーンを、それ単体で商品化したのが”ニッカ カフェグレーン”というわけです。

お値段は700mlボトル5000円~6000円ほどでしょうか。ちょっとお高いですが、一度飲めばそれだけの価値はあることがおわかりいただけるはずです。

カフェグレーン単体での商品化のために、おそらく普段グレーン原酒を貯蔵する樽とは異なる、こだわりの樽で貯蔵しているはずです。

 

【個人的感想】

さて、ここまで公式の商品紹介を中心に書き連ねてきましたが、ここからは個人的な感想です。

 

まずは、”フロム・ザ・バレル”から。

味は、宮城峡モルト&カフェグレーンらしい甘くてウッディ、濃厚な風味が特徴的で、とても年数表記なしのウイスキーとは思えないほどの熟成感と51.4度ならではのボディの力強さ・コクを感じます。
そして、余韻に余市のピート香も感じられ、ウッディな香りも相俟って、さながら森林浴をしているかのような気分です。
また、海外のウイスキーファンの方が、Amazonの英国版で、スコッチ(ハイランド)とバーボンの間にあるようなウイスキーだ、というようなレビューを見かけたことがありますが、なかなか言いえて妙だと思いました。
竹鶴の学んだスコッチ流の製法を踏襲し、バーボンのもつ甘さから嫌な雑味を取り除きつつ、日本の繊細なブレンディング等の技術を経て出来上がったのが、フロム・ザ・バレルだと感じます。

2015年秋の値上げで、ブレンデッドスコッチの12年物と同価格帯での勝負になるわけですが、各種コンクールで最高賞やベスト・ジャパニーズ・ブレンデッド・ウイスキーに選ばれた経歴はダテではなく、決して負けていないと思います。

楽器に例えるなら、チェロ。独奏か小規模な弦楽アンサンブル。しっかりとした低音と甘く伸びやかなメロディー、木の温かみ。甲高いバイオリンや金管などのもつ華やかさとは異なる。

飲み方はストレートをゆっくり時間をかけてちびちびと飲むも良し、もう少し気楽に楽しみたいときはトゥワイスアップもよし。スコッチだと氷を入れるのは望ましくないとされるが、フロム・ザ・バレルの場合ロックで飲んでも香り・味が損なわれることはあまりない。1:2~1:3くらいの濃いめのソーダ割りにしても、決して腰砕けりません。

 

続いて”ニッカ カフェグレーン”の感想です。

以前からニッカのブレンデッドの美味さはカフェグレーンに一つのカギがあるのではと思っていましたが、サントリーもグレーンウイスキー「知多」を売り出したこともあり、なかなかのお値段ですが購入した次第です。

(余談ですが、「知多」の評判はさほど、、、といった感じでしょうか。白州蒸留所でもグレーンウイスキーの生産が始まったようで、今後に期待ということで。。。)

まず香りを嗅ぎ、なにやらデジャヴを感じ、口に含むとまたデジャブ。

「そうだ、これはフロム・ザ・バレルの甘さ、コクに通じるものがある」と直感しました。

カフェグレーンのもつ、甘いアロマとテイスト、ウッディな深いコク、これは”フロム・ザ・バレルをフロム・ザ・バレルたらしめている、他のブレンデッドにはない特徴”だと私は思っています。これが普段だと脇役あつかいを受けがちなグレーン原酒に由来するものだとは!衝撃です。

(製造工程の大きな違いを敢えて無視しますが)原材料のうちトウモロコシの占める割合の高いバーボンと比べると、”ニッカ カフェグレーン”はより雑味がなく、連続式蒸留による<軽やかさ>と(おそらくそれなりに長期の)樽貯蔵による香味の<深み>が両立しています。軽やかで深いとは矛盾しているように思えるかもしれませんが、私にはそう感じられました。

シングルモルト/ピュアモルトといったモルトウイスキーを飲む機会は数々あるでしょうが、グレーンウイスキーの醍醐味を楽しむことのできる商品はまだ数が少ないですから、ブレンデッド好きな方にはもちろん、「ウイスキーはシングルモルトに限る(キリッ」という方にも是非一度お試しいただきたいと思います。