ブラックニッカディープブレンドとシングルモルト余市の関係性を邪推してみた
今年はマッサンブームや海外観光客の爆買いなどの影響で、ジャパニーズ・ウイスキーが値上げしたり、終売銘柄が出たりと災難な一年でした。
中でも個人的に最も衝撃的だったのが、ニッカウヰスキーのシングルモルト余市と宮城峡のノンエイジ化です。
私はシングルモルトにこだわるわけでもないですし、年数表記で酒の善し悪しが決まるとも思いません。それでも、年数ごとのボトルを比べると、蒸留所の個性や熟成の神秘が現れてきます。
そういった機会が当分の間(だと思いたいですが)失われてしまうのは実にもったいない!と思います。
その一方で、ブラックニッカシリーズにディープブレンドという新顔が登場したのも今年のことです。
新樽仕込みの余市モルトをキーとして、実勢価格1500円前後のジャパニーズ・ウイスキーとしてはかなり善戦している味なのではないかなと個人的には感じています。
ところで新樽仕込みの余市モルトといえば、こんな話題がありました。
新樽に仕込んだ余市モルトのピークを10年と見極めてボトリングされた「シングルカスク余市10年」が、Whisky Magazine 「BEST OF THE BEST 2001」最高得点賞獲得の栄誉に輝いたのでした。
ということは、ブラックニッカディープブレンドと並行して新樽仕込みのシングルモルト余市が貯蔵されていて、数年後には余市10年が復活するかも、、、という淡い期待を持つことができるんじゃないでしょうか。
さらにいえば、ディープブレンドに使用された樽の二回目の利用からは、10年以上の長期熟成も可能となるのではと(略
今年の”原酒不足”を理由とした終売・再編ですが、ここでいう原酒とは蒸留したてのニュースピリッツではなく、樽で十分な期間熟成された原酒です。
つまり、熟成年数や趣向の異なる大量の原酒を確保するためには、物理的に大量の樽と時間が必要になるわけです。
ディープブレンドの新樽の利用は、「あまり長くない熟成期間でも原酒に十分な熟成感を与える」という理由のみならず、「今後50年以上のウイスキー生産を見据えた樽の確保」という側面もあったのではないでしょうか。
そう考えると、ニッカの将来は気を長く持ちさえすれば明るいと言えなくもないと思いたいです。親会社のアサヒビールさん、お願いですから時間のかかるウイスキー造りに根気よくつきあってくださいませ。
まあ、あくまでも邪推ですよ。
バーボン・ウイスキー”ブッカーズ”
プレミアムバーボンウイスキー、ブッカーズが先日Amazonから届きました。
わたしが注文したときは5000円を切る値段だったのですが、今は5700円ほど。クリスマスシーズンで値段が上がったのでしょうか?
シングルバレルもので、度数や風味が調整されておらず、テイスティングによってその樽の最適なタイミングでボトリングするということで。
ぼくが今回引いたのは、7年2ヶ月28日間熟成の63.6%のものでした。
ワイルドターキー8年(50.5%)と比較しつつ、レビューを。
これまでバーボンはあまり開拓してこなかったのですが、これは文句なく美味い!
ワイルドターキー8年よりもハイプルーフでわずかに若いのですが、香り味ともにアルコール刺激が感じられませんでした。
ワイルドターキーはスパイシーさも感じられますが、ブッカーズはとにかく滑らかで芳醇なキャラメル様の甘い香味。
ぼくがこれまでバーボンを敬遠してきた理由のひとつ、セメダイン的な香りも感じられませんでした。
とはいえ、ブッカーズは一つ一つ異なるので、一般化できませんのでご了承を。
無論、高い品質管理をくぐり抜けてきた選りすぐりのプレミアムバーボンなので、熟成期間や度数が多少異なっても、きっと素晴らしいボトルに出会えるはずです。
ウイスキーに一滴の水を加えるだけで香りが途端に開く、というお話について
へたくそな英語で、ジャパニーズ・ウイスキーを紹介する記事を書いていたら、文章の推敲に時間がかかり、ブログ更新が滞ってしまいました。
その記事は他日を期すことにして、今日はちょっとしたことだけど、それなりに大事な話を。
ウイスキーを飲み始めてからは、それぞれの個性に合わせてストレート、ロック、トゥワイスアップなどで飲み、香味の変化を楽しんでいました。
しかし、「一滴の水を加えるだけでウイスキーの香りが花開く」というお話は信じ切れていませんでした。
だって、ウイスキーのアルコール度数は40度からせいぜい60度台。ほぼ半分水です。そこに一滴の水が混じって何が変わるのか、と。
これは完全に中学だか高校レベルの理科の知識が抜け落ちていたがゆえの誤解でした。
仕組みは忘れましたが、アルコールと水が混じると熱が生じますね。その熱のためにウイスキーの香りが立ち昇るわけです。
これは、水が多すぎては、生じる熱を冷ます結果となるわけで、だからこそ「一滴の水」なんですね。
先細のテイスティンググラスを用いると、その香りの差は歴然です。
なお、水を入れるタイミングが早すぎるたりロック用のグラスなんかだと香りはあっという間に逃げます。ご注意を。
グラスのお話ージョニーウォーカーのグラス付きギフトボックスが届きました(ゴールドラベルリザーブとプラチナムリザーブ)
告白しますと、恥ずかしながら、これまでウイスキー用のテイスティンググラスを持っていませんでした。
チューリップ型っぽい有田焼の湯飲みやロック用のグラスでなんとかここまでやってきましたが、やはり琥珀色に輝くウイスキーの美しさと香味を同時に堪能するにはテイスティンググラスが欠かせません。
とはいえ、テイスティンググラス単体で買うのはついためらってしまっていました。
そこで何気なくAmazonで「ウイスキー グラス」などの単語で検索をかけると、ジョニーウォーカーがグラス付きのギフトボックスを期間限定で出しているではないですか。日本のお歳暮や欧米のクリスマスシーズンに合わせたものでしょうか。
価格帯ごとに異なるグラスがついているということで(もちろん商品のグレードにグラスの高級感も比例します)、写真を見ながら、一見して明白にテイスティンググラスの付いたプラチナムラベルと、見ようによっては飲み口がやや細まっているゴールドラベルの2つを注文しました。
日本語版のジョニーウォーカー公式サイトにギフトボックスの紹介がされていないので、Amazonのリンクを貼っておきます。
Amazon.co.jp: キリン ジョニーウォーカー プラチナムラベル18年 ギフトBOX 700ml: 食品・飲料・お酒
Amazon.co.jp: キリン ジョニーウォーカー ゴールドラベル リザーブ ギフトBOX 700ml: 食品・飲料・お酒
プラチナムラベル付属のグラスは、飲み口が細く、脚の付いた、まぎれもないテイスティンググラスでした。イタリア製の無鉛クリスタルガラスで出来ていて、容量は170ml。
ゴールドラベルリザーブ付属のグラスは、丸みを帯びてやや飲み口にもカーブがかかっていますが、香りを閉じ込めるほどのものではありませんでした。少し期待外れ。日本製のソーダライムガラスで出来ていて、容量は360ml。
正直、ゴールドラベルリザーブギフト付属のグラスはテイスティンググラスとは呼べないでしょうが、プラチナムラベルのグラスはあまりに華奢なので、普段使い用と贅沢用で使い分けることになりそうです。
ブランドロゴもさりげないオシャレ感を醸し出しています。
この二つのラベルは今まで手を出したことがなかったので、新しいグラスで心ゆくまで香りと味を堪能したいと思います。
追記
ゴールドラベルリザーブのボトルを開けて、付属のグラスでテイスティングしてみました。
ほんのりと柑橘類の皮を思わせるエレガントな香り、スムースなのにリッチな味わい。定番のジョニ黒よりもピート香その他のクセが少なく、万人受けする仕上がりだと思います。付属グラスは十分に実用的ですし、ボトルも美しいです。
贈答用には十分に喜ばれるものだと、個人的には思います。
ブレンデッド・スコッチ12年物の比較雑感/ジョニーウォーカーとバランタインの場合
さて今回はジョニーウォーカーブラックラベルとバランタイン12年を比較しながら、いろいろと雑感を書き連ねていきたいと思います。
ジョニーウォーカーは世界ナンバーワン、バランタインはナンバーツーの売上げを誇る名門ブランドで、ブレンデッド・スコッチを語る上で避けては通れません。
ウイスキーをはじめたい方は、この2つを飲めば、どんな方向性のウイスキーが自分の好みかわかる、、、かもしれません。
まずは、ジョニーウォーカーブラックラベル。
ある年代以上の方々には説明不要だと思いますが、”ジョニ黒”の愛称で親しまれ、戦後日本では長らく高級スコッチ・ウイスキーの代表格として君臨してきました。
スモーキーな香りとともにドライフルーツなどの華やかな香り、主張しすぎないけれどしっかりとした甘みとわずかなビターさ。舌と鼻をフルに集中させれば、スコットランドの数多くの特徴的な原酒の個性に気づかされるウイスキーです。
正直言って、はじめてジョニーウォーカーブラックラベルを飲んだときは、「これが戦後庶民の憧れだったのか。今飲むとスタンダードすぎる。。。」と恥ずかしながら思ってしまいました。しかし、飲めば飲むほど前述のような香り・味わいの虜になってしまい、今では当初の感想を抱いた自分を恥じています。世界一愛されるスタンダードな味わいには、それにふさわしい理由があるんだと実感しました。
続いて、バランタイン12年。
バランタインといえば、「ザ・スコッチ」とも称される17年物が伝統的に有名です。
しかし、12年のコンセプトは17年のコンセプトとはまったく別物です。
もともと(旧)バランタイン12年は2003年に日本で人気の水割りに合うブレンドとして売り出された比較的新しい商品です。そして、リニューアルを経て現在のバランタイン12年にいたります。
旧12年は飲んだことがないので比較できないのが残念ですが、テイスティングノート等を見る限り、大幅な方針変換はないようで、ちょっと変わった程度のようです。
ピートはきつくなく花の蜜のような香りに、クリーミィな舌触りが広がります。
なお、バランタインの日本での正規輸入・商品展開はサントリーが担当していますので、「水割りに合うブレンド」というコンセプトは日本側のオーダーがあったのではないかと邪推します。ちなみに水割りやハイボールを推してくる日本のマーケティングはあまり好きじゃありません。。。
まあ、そんな話は置いておいて、バランタイン12年は、香味としてはジョニーウォーカーブラックラベルと対極にありながらも、やはりバランスのとれた素晴らしいブレンデッド・スコッチです。
トゥワイスアップにして、肩の力を抜いて楽しむには、一番好きな銘柄です。
ところで、ジョニーウォーカーとバランタインを比べたときに面白い違いがあります。それはブレンダーです。
ジョニーウォーカーは化学の博士号をもったブレンダーが揃っています。
対するバランタインのブレンダーは「叩き上げ」です。
こういう違いが、ブレンディングへのアプローチの違いや、それぞれの「らしさ」の違いを生み出しているのでしょうか?
世のウイスキー愛好家がシングルモルトに熱狂しがちな中、私がブレンデッドのことを好きなのは「ブレンダーのアート」に思いをはせることが出来るからなのかもしれません。
なお、ジャパニーズのブレンデッド・ウイスキーの12年物はスコッチと比べて値段が倍以上しますね。
スコッチの場合は自社所有でない様々な蒸留所の原酒を使えますが、そのような商習慣のないジャパニーズだとやはり使用できる原酒に制約があるのでやむをえないのかもしれません。
また、ジャパニーズの12年物の場合は流通量を増やせない代わりに精鋭の原酒を用いているようにも思えます。値段に見合うプレミアム感を出すように頑張っているように思えます。
ニッカウヰスキー、"フロム・ザ・バレル"と"ニッカ カフェグレーン"
このブログについて(私とウイスキーの略歴)
このブログは、ウイスキー歴のまだまだ未熟な私が、ウイスキーの魅力やレビューなどについて語るものです。
正確性や公平性には十分気を付けるつもりですが、的外れなことやいい加減なことが書かれているかもしれませんのでご注意ください。
私がウイスキーに興味を持ち出したのはNHKのドラマ「マッサン」によるウイスキーブームが来る少し前、2013年から2014年くらいだったでしょうか。
きっかけは、ニュースか何かで「ジャパニーズ・ウイスキーが世界で人気に!」という話題に触れたことですかね。
もっとも遡れば、2011年くらいに職場の上司のすすめで一度ウイスキー(スコッチのシングルモルト年代物。銘柄は当時まったく知らなかったので覚えてません。。。)をごちそうになったことがあり、そのときは「美味しいけど、(経済的にも度数的にも)飲みづらいお酒だな」と思った程度でした。
元来、飲み会の席での最初のビール一杯でへろへろになるほどの下戸な体質の私でしたが、不思議とウイスキーは嗜む程度に飲むことができ、なんとかここまでやって来ました。
最初の方は最もポピュラーなジャパニーズの某銘柄を試して、「うっ、、、舌に合わない。私はウイスキーに向いていないのでは?」と思ったこともありましたが、ウイスキーブームにより関連書籍やウェブ上の情報も充実してきたおかげで、美味しいウイスキーに巡り合うことが増え、そこからはウイスキーの魅力にハマってしまいました。
さて、それではウイスキーの世界へと足を運んでみましょう。飲みすぎにはご注意を。